VTuberの切り抜き動画で面白いものを見つけた。ただ切り抜くだけでなく、題材にしたエピソードを漫画化するという手の込んだ新しい切り抜き動画となっている。(筆者が知らないだけかもしれないが)新しいアプローチとして興味深かったので、動画研究の記事としてシェアしたい。
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切り抜きを漫画動画化するという興味深い試み
VTuber界隈には「切り抜き」という文化がある。
VTuber界隈における切り抜きは、ライブ配信の中から特定の面白いシーンや象徴的なシーンを数分から十数分程度で切り抜き、配信者の応援目的で動画を共有するというものだ。
切り抜き文化自体は必ずしもVTuberだけに限った話ではないが、いずれにせよ、多くの切り抜きは視聴者の利便性を重視したつくりとなっている(配信サイトによっては、視聴者による簡単な切り抜き機能が実装されている)。
盛り上がったシーンをコンパクトにまとめたもの、網羅性のあるもの、サムネやテロップで内容をわかりやすくしたものなどが大半だが、切り抜きの趣旨を考えれば、それが最も適切な形であることは言うまでもない。
切り抜き文化、とりわけYouTubeやニコニコに別個で投稿された切り抜き動画には様々な点から批判もあるが、長時間・高頻度の配信を追い切れない視聴者にとってメリットもあるほか、新規視聴者の増加にも一役買っていると思われる。
そんな切り抜きの動画の中で最近、興味深いものを見つけた。
▼VTuberの切り抜き漫画動画
特定のシーンを切り抜くまでは通常の切り抜き動画と同じだが、そこで語られているエピソードを漫画として再現するという切り抜き漫画動画だ。
ファンアートとしてのイラストは珍しくないが、「切り抜き×イラスト(漫画)」という意味で新しい試みと思われる(筆者が知らないだけで同じことをしている人はいるのかもしれないが)。
切り抜きというのは本来、利便性を重視したものでファンアート要素は若干下がるものだ。また、切り抜き動画自体も配信者側の体制が整えば整うほど、本人や編集スタッフの手によって自らのチャンネルで管理すればよく、視聴者による切り抜きそのものが過渡期の産物という性質もある。
実際、ゲーム配信者の間では生配信でゲーム実況をしたあと、面白かったシーンを自分やスタッフが切り抜いて編集し、完成した動画を自分のチャンネルに投稿するということが当たり前のように行われている。むしろこちらが配信界のスタンダードでもある。
その点、今回引用したような「切り抜き×何か(今回であれば漫画)」を志向した切り抜き動画は、利便性だけではないプラスアルファがあるという意味で面白さがある。
既に該当シーンを見たことがある人にとっても新たな楽しさがあり、当然ながら新規の視聴者に対しても一つの魅力的なアプローチになり得る。作り手側のセンスと労力が今まで以上に必要になるため、主流になる可能性は低いかもしれないが、切り抜きの新たなアプローチとして興味深い。
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