人気お笑い芸人"サンシャイン池崎"がYouTubeに猫チャンネルを開設し、その収益の全額を寄付するということで話題になっている。だが残念ながら同様の行為は規約に違反している可能性がある。以下、その詳細を説明していく。
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サンシャイン池崎が収益全額寄付の猫チャンネルを開設
▼サンシャイン池崎がYouTubeチャンネルを開設
2019年8月29日、ワタナベエンターテイメント所属の人気お笑い芸人の"サンシャイン池崎"が猫チャンネルを開設したことで複数のネットニュースで記事になっていた。
サンシャイン池崎が飼っている猫2匹は、捨て猫や負傷した猫などの保護活動をしているNPO法人「猫の森」から譲り受けた保護猫らしく、その溺愛っぷりがSNSで話題になったことも今回の猫チャンネルを開設したきっかけになったようだ。
▼サンシャイン池崎超裏垢のツイート
おおぉぉぉーーーい!!!!
— サンシャイン池崎 超裏垢 (@ikezaki_wow) July 5, 2019
テメエらのせいでめちゃくちゃフォロワー増えてんじゃねーか!!!!
コソコソやりたかっのにどうしてくれんだバカヤロー!聞いてんのか!?
寝てんのか!?寝てるな?寝てるよな!
じゃあ言わせてもらうけど!
超嬉しいよこのヤロー!!!!
ありがとう!!!! pic.twitter.com/zrlFpIrG6b
収益を全額寄付すると宣言していた
今回、サンシャイン池崎のYouTubeチャンネル開設がネット上で話題になっている大きな理由の一つとして、その収益の全額寄付宣言がある。
サンシャイン池崎のYouTubeチャンネル「ふうちゃんらいちゃんねる」のチャンネル概要欄を確認してみると、YouTubeで得た収益を動物保護活動をしている団体の活動支援のために全額寄付すると書かれている。
同様の文言は動画概要欄や公式ツイッターでも確認でき、上記に引用したチャンネル一本目の動画では本人が直接宣言している。
▼公式ツイッターでも全額寄付宣言
この度!
— サンシャイン池崎 超公式 (@ikezaki_YEAH) August 30, 2019
新たにyoutubeチャンネル開設しました!その名もおぉ!
『ふうちゃんらいちゃんねる』
主役は僕の愛猫の風神と雷神です!
収益は全て保護猫団体さんや、動物保護団体さんへ全額チャリティーの空前絶後のチャンネルです!
是非皆さまチャンネル登録お願いします!!!https://t.co/4raapFdwA8
サンシャイン池崎は全額寄付の理由として、「(飼っている猫の)ふうちゃんらいちゃんも保護猫団体さんから譲り受けたというか出会わせてくれたんですけど、そういうこともあって今回のチャンネルは必要経費とかは引くかもしれないですけど、それ以外のお金は全部、動物保護の活動をしている団体に全部チャリティーしていこうかなと。いやもうしていきます!」と動画内で熱く語っていた。
また、実際に動物保護ボランティアに参加する中で、活動維持のために多くのお金が必要となることも実感したという。
サンシャイン池崎の心意気はたしかに素晴らしい。
だが水を差すようで申し訳ないが、残念なことに収益の全額寄付宣言は規約に違反している可能性がある。
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公式サイトで禁止行為と明言されていた
YouTubeで収益を得るためには、Google AdSenseのアカウントが必要となってくる。
そこでAdSenseヘルプの「お支払いに関するよくある質問」というページを見てみると、下の方に「AdSenseの収益を慈善団体に寄付することはできますか?」という項目がある。
そこにはこんな記述がある。
『現時点では、AdSense の収益をアカウントから慈善団体に直接寄付することはできません。ただし、AdSense からのお支払いをお受け取りになった後は、その収益をご自由にお使いいただけます。』(AdSenseヘルプより)
要するに収益を受け取ったあとは、あなたのお金なのだから自由にしていいですよ、ということだ。問題はその次である。
『なお、収益を寄付される場合でも、サイトに「広告収益のすべてまたは一部を慈善団体に寄付します」といった記述は表示しないようお願いいたします。広告が不当に注目されたり、Google で収益の最終的な使途を確認できないことから、こうした記述は Google のプログラム ポリシーで禁止されています。』(AdSenseヘルプより)
サンシャイン池崎側はチャンネル概要欄と動画概要欄に同様の文言を記述しているほか、動画内でもハッキリと話している。さすがにここまでとなると、かなりの確率で禁止行為と判断されるのではないだろうか。
全額寄付宣言がダメな理由
ところで「どうして全額寄付を宣言するのはダメなの?いいことしてるだけじゃん?」と思う人もいるだろう。
YouTubeは動画投稿者、視聴者、YouTube運営、広告主の四者で成り立っており、それぞれがメリットを享受できるからこそ、今日のYouTubeの成功がある。
その点、収益の全額寄付宣言はどうだろうか。
寄付すること自体はたしかにいいことかもしれない。しかし、それを聞いた視聴者は応援という大義名分で無駄にCMを視聴したり、クリックするという本来望ましくない行動をしてしまうかもしれない。
こうした行為はYouTube運営と広告主に損害を与えかねず、四者のメリットで成り立っていた均衡が崩れてしまう。
また、寄付するという宣言は詐欺にも使われやすい手口でもある。Google側が言う「広告が不当に注目されたり、Google で収益の最終的な使途を確認できないこと」という説明はそういう意味である。
▼AdSenseの公式ブログ
サンシャイン池崎に限っていえば、さすがに詐欺の可能性はまずないとは思うが、動画を視聴したユーザーによる本来望ましくない「応援」を誘発する可能性は十分にある。
ちなみにYouTubeには非営利プログラムも存在するが、内容が異なるのでおそらく別物だろう。
サンシャイン池崎に悪意はなくとも、ルール違反はルール違反。今現在、収益化が有効になっているのか不明だが、問題が大きくなる前に早めに撤回をしたほうがいいかもしれない(追記:本稿を執筆してからしばらくたったあと、公式の発表はなかったものの、問題の文言がYouTubeの概要欄などから消えていました。どうやら修正したようです)。
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