ここ数日の間、YouTubeのコメントが表示されない"バグ"が話題になっている。単刀直入に言うと、これはバグというよりYouTubeが急遽実施した規制の影響によるものだ。この「急遽実施した規制」により、数千万個の動画のコメントが無効化され、数百個のアカウントが閉鎖されている。以下、その詳細を見ていく。
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YouTubeが未成年者を守るための規制を急遽実施
規制のきっかけは、2019年2月17日に投稿された一本の動画。
動画ブロガーのマット・ワトソンなる人物がYouTubeのアルゴリズムやコメント欄を批判。具体的には、未成年者の動画をよからぬ気持ちで見る視聴者がおり、そうした視聴者が不適切なコメントを投稿したり、タイプスタンプなどで情報共有をしているほか、その流れをYouTubeのアルゴリズムがおすすめ機能などで助長しているというものだ。
YouTube、児童の性的搾取に関連する問題で多数のチャンネルを停止 - ねとらぼ https://t.co/orEkQ3K9MP @itm_nlabから pic.twitter.com/hLxfiRFa9K
— ねとらぼ (@itm_nlab) 2019年2月23日
有名企業が続々とYouTubeへの広告出稿を休止
▼ディズニーなどが広告出稿を休止
マット・ワトソンが指摘した問題意識に呼応し、有名企業が続々とYouTubeへの広告出稿を休止。
ディズニーやネスレ、マクドナルド、エピックなど日本人でも知っている有名企業、そのほかにも複数の企業がYouTubeでの広告を一時的に停止しているという。
こうした大手の広告主が一時的とはいえ、広告を引き上げるということはYouTubeにとって打撃であり、将来的な不安でもある。そのため半ば強引に規制を実施したというわけだ。
主な規制の内容
▼『未成年者の安全に関連する対策についての最新情報』
大雑把に内容を言うと、「数千の不適切なコメント削除」「不適切なコメントを残した数百のアカウントを削除」「数千万個の動画でコメントを無効化」「未成年者を含み、危ないコメントのある動画の収益化制限」などだ。
数千の不適切コメント削除と数百のアカウント停止
未成年者を含む動画について、投稿された不適切なコメント数千個が削除され、そうしたコメントを投稿した数百のアカウントが停止された。
これについては誤BANの可能性もなくはないが、「不適切」であることが本当なのであれば、当然の処分といえる。
数千万個の動画でコメントを無効化
同様の問題が繰り返されないように、不適切なコメントに晒されかねないと判断された"リスクのある"数千万個の動画で一時的にコメントが無効化された。
ちまたで騒がれている"バグ"と呼ばれるものの正体はこれだ。
この無効化は「システムをさらに改善するための予防策」であり、とりあえず一時的にコメント欄を無効化することで、未成年者自身や保護者が今回の問題を考える場を設けたという意味も含むのだろう。
だが短期間で数千万個の動画を精査するなど不可能。機械的に「リスク」判定をしたことで、あまり関係のない動画でもコメントが無効化されてしまったというわけである。
ちなみにこのコメント無効措置について、ざっと調べてみたところ、日本の有名YouTuberのあいだでもコメントの無効化が適用されていた。
なんかバグみたいっすよ!#BoxFresh_MAHOTONNN #BoxFresh https://t.co/8EnchC3xmO
— マホト (@MAHOTONNN) 2019年2月23日
バグだよーごめーんね https://t.co/4qcCsPuT0L
— はなお 👒@石破茂と宅飲み (@hanao_sakebu) 2019年2月24日
なぜかしばなんチャンネルだけコメント欄が全動画封鎖されてて、治し方知りたくてうーくんまほっちゃんトミー電話かけたけどみんな出ず、みきぽんが出てくれて一緒に悩んでくれたけど解決せず、メインもサブも編集してあげられるのに公開する気になれませんおやすみなさい。wwwwwww😭😭😭😭😭😭
— あやなん♡ (@ayachan0619) 2019年2月24日
未成年者を含む動画で危ないコメントがあると収益化制限
未成年者を含む動画で、今回問題視されたような危ないコメントがあると判断された場合、動画に広告が表示されなくなる可能性があるという。
動画の内容に問題がなくとも、視聴者のコメントに今回の問題で指摘されたようなコメントがあると収益化が制限されてしまうのだ。
あくまで視聴者のコメントが悪いのだが、その責任は広告非表示としてクリエイターが負担するという内容。
もしかすると子供が写っている動画に、ちょっとした下系のコメントを打たれるだけで広告を剥がされる可能性があるかもしれない。仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが、さすがに可哀想と言わざるを得ない。
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この問題の難しさ
今回、注目された問題は実に厄介なものだ。
既に触れた通り、「投稿された動画自体は何の問題もない」からである。マット・ワトソンが指摘した動画は、単なるお喋りをしている動画や体操をしてるような動画など、動画自体に問題があるわけではない。
コメント規制はある程度できるかもしれないが、安易に機械的な規制をしてしまった結果、健全なポケモンGO実況者が続々と誤BANされるという事件も起きた。
コメントの影響で収益化を制限されるというのも、悪意を持った視聴者が妨害目的に悪用可能という問題がある。YouTubeは今後、対策の改善を行っていくと説明しているが、YouTubeで活動する動画クリエイターの不安は尽きないだろう。
▼この問題について解説するPDRさんの動画
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