早稲田大学に通う現役の学生YouTuberバンカラジオ。受験や学歴をテーマにしたネタ系の動画を多く投稿している二人組(きいた、やねすけ)のYouTuberだが、その内の国際教養学部に在籍する"きいた"さんが中国留学を予定していたところ、なんとYouTube活動が原因で選考に落とされてしまったという。
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YouTube活動が原因で中国留学の選考に落ちる?
2018年12月7日、以下のような動画を投稿していた。
▼留学選考に落ちたことを報告する"きいた"
早稲田大学の国際教養学部に在籍するという"きいた"さんは、経済成長著しい中国に留学したいと、中国留学を第一志望にして留学選考を受けたという(※国際教養学部は1年間の海外留学が必修の場合もあるとか)。
留学選考では七個の志望先を書けることになっていたようだが、"きいた"さんは「あんまり他の留学先に興味がなくて」という理由で第一志望の中国の大学だけを記載して提出。
強気の姿勢で選考に臨んだ結果、不合格の通知を受け取ったようだ。
これだけなら「ふーん」で終わる話である。
しかし、不合格の理由が「YouTube活動」にあるかもしれないというのだから話が少し変わってくる。
ほとんどの学生が呼び出されない中、"きいた"だけが大学から呼び出される
選考結果が発表される数週間前、"きいた"さんは大学側から呼び出され、大学の担当者2名と個室で面談することになったという(大半の学生は個別に呼び出されることはないらしい)。
"きいた"さんは選考の際に提出した志望動機の中で「中国でもYouTubeの活動を続けたいこと」「中国の格差社会や日中の軋轢が生まれた背景について研究したいこと」などを書いた。
その上で、中国の情報規制が厳しいことも承知しており、政治的にグレーな部分には触れず、クリーンにやっていきたいとも説明していたとのこと。
しかし、「YouTube活動」を強調した志望動機が大学側から問題視され、個別に呼び出しを受けることになった。
「早稲田大学と中国の関係も悪くなるし、あなたのご両親にも悪い影響が出る」
"きいた"さんを呼び出した大学担当者は、YouTubeの活動について質問をした上で
「もし、あなたが一歩でも悪い方に行ってしまったら、早稲田大学と中国との関係も悪くなるし、もしかしたらあなたのご両親にも悪い影響が出るかもしれない」
「YouTubeクリエイターとして、もし活動するのだったら、中国として見られたくないものをそういう影響力のある海外の人に見られるってことは、あんまりいいとは思わないから」
「その活動自体ちょっと危ないかもしれない」
と語ったという。
それから数週間後、選考の結果は「不合格」となった。
なお、不合格の理由は大学側から明示されているわけではないらしく、あくまで"きいた"さん個人の推測によるものだという。
"きいた"さん曰く、「志望した留学枠は比較的誰でもいける広めの枠であること」「自身のGPAが悪くないこと」「(現時点の)中国語力もそこまで要求されていないこと」「自分だけが呼び出されたこと」「面談でYouTubeについて聞かれたこと」などを総合してYouTubeが原因と結論付けたようだ。
▼不合格を知った直後と思われるツイート
あぁーーーー…まいった
— きいた【バンカラジオ】 (@Kiita_ma) 2018年12月5日
人生どん底のお知らせ入った。しんど。
事なかれ主義の是非
中国では一応、YouTubeが規制対象となっているので、それを堂々と志望動機に書き込んだ"きいた"さん側にも落ち度はあるかもしれないが、かといって大学側の対応もそれはそれで「事なかれ主義」のようにも思える。
ちなみに、ちょうど今年2018年の夏、中国北京の清華大学に留学中のドイツ人大学院生に関する一件がネットニュースになっていた。
▼ドキュメンタリー映画がきっかけで強制退去となったドイツ人大学院生
清華大学でジャーナリズムを専攻するドイツ人大学院生が、中国の人権派弁護士などを取材したドキュメンタリー映画を制作したところ、留学ビザの延長を拒否され、強制退去を命じられたという事件だ。
このドイツ人大学院生は、日本のNHKも『中国"法治"社会の現実』で取材していた、拘束中の人権派弁護士の妻による100km歩行なども取り上げていたという。
もっとも、ドイツ人大学院生の一件が直接的に影響しているとまでは思わないが、大学側として多かれ少なかれ面倒な事態になることを避けたいと考えているという意味では同じだろう。
しかし、そもそもバンカラジオは、良くも悪くも受験や学歴をテーマにしたネタ系の動画が大半で、ジャーナリズム然とした動画はほとんどなく、YouTuberにありがちな迷惑系(と呼ぶべきレベル)の動画も見当たらない。
留学の志望動機でYouTube活動をアピールする必要はなかったかもしれないが、仮に大学側がYouTube活動を主な理由として不合格にしたとするならば、委縮し過ぎのように思える。
また、留学先で良い面を学ぶ一方で疑問に感じることも見つけたとしよう。それをある程度動画にまとめたとして、どういった非があるのだろうか。むしろ留学の本分を存分に全うしている。
もし何かしらの問題が生じたとしても、そこから学べることはあるはずだ。大学側は必要以上に委縮するより、何かあったときには一緒に対処してやるという気構えのほうが本来の大学らしいような気もする。
なお、"きいた"さん本人は動画の終わりに「早稲田が悪いとかじゃなくて、単純に僕がその留学に合わなかったという話」、「悲しいことなんですけれども、中国の情報規制に関しては向こうに行ってから考えればいいかな、程度のさらっとしか調べていなかったという知識の浅さなども、面談で見られて覚悟が足りないと早稲田大学に思われたのかと」と語っていた。
▼追記:2019年2月3日、アメリカの大学に留学することになったという報告動画が投稿されていた。
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