近ごろ、YouTuberのあいだで「概要欄日記」と呼ぶべきものが流行しているらしい。動画の説明欄で日記やエッセイを綴るというものだが、中には概要欄日記を一冊の本にまとめて出版したというケースまで出てきた。本稿では、ちょっとしたブームになりつつある概要欄日記の代表例を見ていくと共に、不安点についても触れてみたい。
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概要欄日記を本にまとめて出版した東海オンエア虫眼鏡
UUUM所属の人気YouTuber東海オンエアは、動画の概要欄でエッセイのようなものを綴ることが恒例化している。その中でもメンバーの一人である虫眼鏡さんの書く概要欄が好評のようで、結果的に一冊の本にまとめられることになったようだ。
【お知らせ】
— 虫眼鏡【東海オンエア】 (@TO_ZAWAKUN) 2018年6月28日
みんなが作ってって言うから概要欄の本作ったよ!「安くして」って出版社さんにお願いしたから全員2冊買ってね!
発売日などの詳しくはリンク先を参照!https://t.co/unEQ6aIZxO
虫眼鏡さんの概要欄日記(というかエッセイ)は比較的長文で、たとえば2018年5月14日に投稿された動画(クリックするとYouTubeに飛びます)の概要欄では700文字以上の文章が書かれている。
上記の一例は少しふざけた内容だが、虫眼鏡さんの豊富な知識をふんだんに披露した回もあったりと、一部の視聴者には人気コンテンツの一つになっているようで、時には動画コメント欄で動画の感想より概要欄に関するコメントのほうが目立っているということもあるというから驚きだ。
概要欄を駆使するYouTuberが増加中?
概要欄日記を出版することになった東海オンエア虫眼鏡さんだが、その影響を受けたのか、他のYouTuberでも概要欄でエッセイのようなものを綴るケースが増えている。
■パオパオチャンネル
UUUM所属の二人組の人気YouTuberパオパオチャンネル。東海オンエアの虫眼鏡さんの影響を受けて、概要欄を存分に活用するスタイルを実践することにしたようで、概要欄には虫眼鏡さん並みの長文をよく目にするようになった。
■カズチャンネル
元々、「本日の米」と称して概要欄で動画に関する簡単な文章を載せていたようだが、2018年の夏ごろから文字数が増えている印象。基本的には動画と無関係の文章はほぼなく、制作秘話も兼ねた感じの内容となっている。
■すしらーめん《りく》
UUUM所属の人気YouTuberすしらーめんりくさん。 破天荒な実験系の動画が人気で、投稿頻度こそ少ないものの、外国人の視聴者も多い人気YouTuberだ。
すしらーめんりくさんも元々、動画概要欄を比較的活用していたタイプのようだが、これまた2018年夏ごろから文字数が増えている傾向にある。 特に上記の動画に至っては、概要欄の文字数が2,000文字以上あるという力の入れようだ。
そのほか無感情YouTuberとして有名なバンスタも概要欄日記をやっていたり、非UUUM系のYouTuberでも概要欄をエッセイ的に使うケースがちらほらと増えてきている。概要欄日記は今後、ブームになる可能性を秘めているといえるだろう。
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ただし、何事もやり過ぎは禁物
動画概要欄というYouTube上で本来簡素な場所を一つのコンテンツと盛り上げ、概要欄日記を見たいがために動画を視聴するユーザーもいるぐらいなので、概要欄日記戦略は一見してメリットばかりのように思える。
ただ、これは筆者の杞憂に過ぎないかもしれないが、概要欄日記は最悪の場合、YouTubeのポリシー違反になる可能性があるのではないかと危惧している。
まず前提として、YouTubeの動画概要欄は動画に関する説明を書く場所だ。
動画の内容や簡単な制作秘話、動画内で使用した道具・フリー素材の紹介、長い動画を視聴しやすくするためのタイムスタンプ、動画投稿者の簡単な自己紹介などが本来想定されている用途だろう。
その点、動画概要欄に日記やエッセイを綴るというのは想定外の使い方だ。
YouTubeでは、YouTube運営こそが「神」みたいな存在であり、運営に規約違反だと判断されれば100万人以上の登録者を誇る大型チャンネルでさえ、問答無用で削除されてきた。
これまでのYouTube運営のやり方を考えると、運営が想定していない使い方をするというのは正直かなり怖い。
そこで特に気になるのはYouTubeの規約だ。
YouTubeのポリシーでは「誤解を招くメタデータ」を名指しして禁止している。
「誤解を招くメタデータ」とは、「検索流入を増やす目的で動画とは関係のない人気のキーワードを入れること」などを指す。これらはYouTubeの検索を妨害することになり、場合によっては強制的に削除するとYouTube運営が明言している。
もっとも、概要欄日記は不正に検索流入を増やすことを目的にしているわけではない。だが動画概要欄のテキストは検索に影響を与えており、動画と関係のある話ならまだしも、動画とは全く関係ない話を長々と綴ったために、それが結果的に不正に繋がってしまうということも考えられなくはない。
そういう意味では概要欄日記がポリシー違反として、いつか標的にされる可能性もゼロではないように思える。
YouTubeに限らずだが「誰々がやっていたから大丈夫でしょ」と思って気軽に真似したら、ある瞬間に地獄を見たということがたまにある。
いまのところ、概要欄日記が原因でBANされたという話を聞いたことはないものの、あくまで動画概要欄は動画の説明欄であることを踏まえ、もし概要欄日記を書くとしても、動画と関係のある文章を節度ある範囲で綴るくらいに留めておいたほうが無難かもしれない。
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