大物YouTuberは「りゅうちぇるタトゥー問題」をどう論じた?YouTuberから読み解くタトゥー問題

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モデルでタレントの"りゅうちぇる"さんがタトゥーを入れたことに端を発した「りゅうちぇるタトゥー問題」。一連の騒動は大物YouTuberたちの間でも話題になっており、その是非について物申す動画が複数投稿されている。

本稿では、タトゥーを入れている有名YouTuberやその取り巻く状況なども合わせ、YouTuberたちが投稿した動画を紹介しながら「りゅうちぇるタトゥー問題」を読み解いていきたい。 

 

分かれた賛否 

 

へきトラハウスカワグチジンさん 

 

アングラ系の動画で人気を博したYouTuberへきトラハウス(2018年9月現在、チャンネル登録者数144万人)。 

 

現在は三人のメンバーで活動しているが、そのうちの一人、ジンさんはタトゥーを入れていることでも有名で、りゅうちぇるタトゥー問題の約1か月前にもタトゥーに関する考え方を語る動画を投稿していた。 

 

 

へきトラハウスは、りゅうちぇるさんに向けられた批判コメントを取り上げながら、実際にタトゥーを入れているジンさんが一つずつ反論をしていくという形で動画を進行。

 

たとえば、「親からもらった体に傷をつけるな」という批判に対してジンさんは「そもそも親もタトゥー入っている」と回答。そして「子供と一緒にプールとか温泉に行けなくて子どもが可哀想」という批判には、「みんな同じじゃなければいけない、みたいな風潮が多すぎる」「同じ人間をつくろうとしている」と指摘した。

 

ちなみに、へきトラハウスのメンバー"へきほー"さんは「父親を悲しませたくない」と自分にタトゥーを入れることに比較的慎重のようだが、りゅうちぇるさんのタトゥーについては「いいんじゃないですかね」と即答していた。

 

■物申す系YouTuberのシバターさん

 

物申す系YouTuberのパイオニア的存在であるシバターさん(2018年9月現在、チャンネル登録者数85万人)。

 

シバターさんはタトゥーに否定的な立場から動画を投稿。 りゅうちぇるさんの話をするというより、りゅうちぇるタトゥー問題に関連して話題になった一般人(ラッシュガード着用のルールを守らずプールに入っていたらしい)にスポットを当て、怖いと感じる人に配慮も必要だという前提で、ルールはルールなのだから守るべきだと主張。

 

りゅうちぇるさんの「社会を変えていきたい」という発言については「自分で好きなことをして認められたいっていうのは勝手じゃない?」と語り、日本ではタトゥーを嫌だと感じる年配の人が多いという前提で「自分で好きに入れたものなのだから、批判も全部込みで受け入れるものなのでは?」と疑問を呈していた。

 

■物申すことをあまりしなくなったKUNさん

 

ゲーム実況系YouTuberのKUNさん(2018年9月現在、チャンネル登録者数59万人)。 

 

KUNさんは、シバターさんと同様に物申す系YouTuberとしても知られていたが、近ごろはあまり物申す系の動画の投稿は控えているという。

 

なぜ、あまり物申さなくなったかについて、物申す系をやっていると「○○さんが××しましたけど、どう思いますか?」と視聴者から質問されることが多々あり、そのたびに「意見じゃなくて殴れって言いたいんだろう」と感じていたという。 

 

そしてタトゥー問題については、「もし日本がタトゥーに寛容になってきたら、それでも叩くかといえば叩かくなると思う」とし、本当に許せないのではなく、周りに流されているだけではないかと指摘。

 

乗っかって叩いたりとか、乗っかって空気を作りだすのって、結局自分が損する場面がいつか来ると思う。自分が少数派になって叩かれる場面って絶対いつか来るんだよ。自分が少数派だったときに、いつか苦しい思いをするから、だからあまり他人に興味を持たないで、自分が自分の好きなことをやろうっていうほうが楽になれそうな気がする」と話していた。

 

 

YouTuberのタトゥー事情はどうなってる?

 

有名なYouTuberの中には、前述したジンさんの他にもタトゥーを入れているYouTuberがたくさんいる。

 

十代女子に大人気のYouTuberワタナベマホトさん、日英ハーフのYouTuber「PDR」さん、美容系YouTuberもるさん、ニコ生出身の女性YouTuberおかなちゃんこと"岡奈なな子"さんなどのタトゥーは有名だ。 

 

そのほか、YouTubeでは「タトゥーを入れるドッキリ」動画も好評だったりと、タトゥーをテーマにした動画はたくさん存在する。

 

このように説明するとYouTube視聴者の大半がタトゥーに寛容であるように思えてしまうかもしれないが、実際には少し状況が異なる。

 

既にタトゥーのイメージが強いYouTuberでも、影では批判され続けているし、タトゥーの数が増えるたびに苦言を呈されている。また、それまでタトゥーを入れていなかったYouTuberがタトゥーを入れたりすると、やはり批判的なコメントが目に見えて増えることが多い。 

 

上記の動画三つのコメント欄を見てもわかる通り、反発が多いというのも事実だ。

 

そして誰もが知る超大物YouTuberヒカキンさんが投稿した動画の中にも、その一端をのぞかせるシーンがある

 

ヒカキンの動画で意味深に長袖を着るマホト

 

UUUMの顔であるヒカキンさんは、非UUUM系のYouTuberとコラボすることが非常に稀なのだが、古くから付き合いのあるマホトさんとは定期的にコラボ動画を投稿している。

 

 

 

しかし、この動画を見てみると、なんとなく違和感を覚える人もいるだろう。 

 

ヒカキンさん、PDSさんが半袖なのに対し、マホトさんは長袖だ。

 

既に述べた通り、マホトさんはタトゥーを入れている。ちなみに動画の撮影日は8月9日という夏で、マホトさんが同時期に投稿した動画の多くは半袖で撮影されている。

 

 

 

上記の動画では、ヒカキンさん宅の風呂場でドンペリを浴びるシーンがあるのだが、マホトさんは長袖を着用したままだ。 

 

たまたまの可能性もなくはないが、何らかの事情で「隠すことにした」と考えた方が自然だろう。 

 

ヒカキンさんの所属事務所であるUUUMには、もるさんなどタトゥーを入れているYouTuberも所属しているし、ヒカキンさんの兄であるセイキンさんがタトゥーシールの動画(2014年なので古いが)を投稿していたりと、タトゥー自体が全面的にタブーになっているわけではない。

 

だが、ヒカキンさんといえばUUUMの顔であり、コアな視聴者も子どもたちだといわれているから、その親世代からの反発を考慮した可能性が高いのではないだろうか。

 

YouTuberというと「好きなことで生きていく」のキャッチコピーのもと、自由なイメージとして語られることが多いが、実際にはタトゥー問題のようなしがらみが存在しないわけでもないというのが実情だ。

 

 

りゅうちぇるの発言の真意を考える 

 

ところで、りゅうちぇるタトゥー問題とは、どうしてテレビやネットニュース、そしてYouTuberの間でも議論されるほどに盛り上がりを見せるに至ったのだろうか。

 

まず、りゅうちぇるさんのタトゥーが最初に注目されたのは、りゅうちぇるさんがタトゥーを入れたことを公表したタイミング。これが8月18日、19日頃。

 

それまではファンのあいだでちらほらと話題になっていただけだったが、りゅうちぇるさん本人が本物のタトゥーを入れたことを公表したことでネットニュースにも取り上げられることになった。

 

しかし、「りゅうちぇるタトゥー問題」として、ここまで注目された理由は別にある。

 

それはタトゥーを公表したあとの8月21日、りゅうちぇるさんが無数の批判コメントを受けて「こんなに偏見のある社会 どうなんだろう。仕方ないよね。ではなく、僕は変えていきたい。」とインスタグラムに書き込んだためだ。

 

 

Prince Ryuchellさん(@ryuzi33world929)がシェアした投稿 -

 

 

"偏見"、"(社会を)変えていきたい"というキーワードがタトゥーを良く思っていない人たちからより一層の反発を呼び、更には複数の芸能人が賛否を示したことで「りゅうちぇるタトゥー問題」として明確に認識されるようになったわけである。

 

こうして時系列でみると、りゅうちぇるさん自身が当初は「社会を変えたい」とまでは言っていなかったことがわかる。

 

タトゥーが公になっていく中、おびただしい数の批判コメントが自身に殺到したことで「(社会を)変えていきたい」と発言するに至ったのだ。

 

りゅうちぇるさん自身は確かに「偏見」というキーワードを使用しているし、「(社会を)変えていきたい」とまで主張しているのは事実である。

 

しかし発言の経緯を考えると「タトゥーに関する考え方の違い」を焦点にしたいというより、「自らが肯定できないものに対して攻撃的になる人」にショックを覚えたということこそが真意のように思える。

 

YouTuberの間でも賛否は分かれていたものの、タトゥーの良い悪いではなく、無暗矢鱈に相手を攻撃するべきではない、という意味ならここまで賛否の分かれる議論に発展することはなかったのではないだろうか。

 

もちろん、プールや銭湯の入場規制など、攻撃するしないで解決できない難しい問題も残っている。タトゥーをカッコいいと考える人もいれば、反社会的イメージを感じて怖いと思う人もおり、現状では「隠してもらう」というのが落としどころだろうか。

 

ただ、上記の動画でKUNさんが指摘していたように、立場が逆転したときに自分がどう思うかという視点も大切なのかもしれない。

 

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